2024年8月26日

高齢者の服薬トラブルに注意!薬の管理問題と対処法

年齢を重ねるとともに複数の疾患の治療などで、医療機関に通う回数はどうしても増えていきます。そうなると必然的に処方される薬の種類と量も増え、管理が難しくなります。認知症の症状がなくても、薬の飲み忘れや、誤飲をするなどの服薬トラブルが起きてしまい病状を悪化させてしてしまう事例も多く報告されています。
そこで今回は、どのような薬のトラブルが起こりやすいのか、またそのトラブルに対しての予防法や対処法について解説します。

服用

起こりやすい服薬トラブル

処方薬の種類や量は病気の数だけ増えていくため、いくつかの持病をもつ高齢者は、何種類もの処方薬を服用していることも珍しくありません。いつも家族が見守れる環境ならよいですが、ひとり暮らしの高齢者の場合、間違った飲み方によってトラブルが起きやすいため、服用管理は重要です。
まずは高齢者に多い服薬トラブルをあげてみましょう。

飲み忘れ・飲み間違い

処方される薬が多くなると、服薬管理も複雑になり、薬を飲み忘れたり、見た目が似ている薬の飲み間違いや同じ薬を重ねて飲んだり、包装シートのまま飲んでしまう事故が後を絶ちません。
勘違いや視力の低下などで誤飲し、体の不調を感じるなどの症状が出てから病院へ行くまで気づかない場合もあります。高齢者に多いトラブルのひとつです。

相互作用(飲み合わせ)

2種類以上の薬を同時に服用した場合、薬と薬がお互いに影響しあって薬の効果が変化することを「相互作用」といいます。服用する薬の種類が多くなればなるほど、薬と薬の相互作用は起こりやすくなり、副作用に繋がるリスクも高まります。
また、食品との飲み合わせによって、薬の効き目が変化する場合もあるので注意が必要です。

副作用

副作用とは、薬を服用した時に、病気やけがを治すという効果の他に生じてしまう望ましくない作用のことです。
ふらつきや胃痛、便秘や食欲低下など、期待した効き目以外の作用が出てしまったり、期待した効き目より強すぎてしまったりしてしまう事があります。風邪薬を飲んで眠くなったというような軽い症状から、生死にかかわるものまで、さまざまなレベルのものがあります。

※副作用や相互作用などで体の不調を感じた場合、自己判断でお薬を減量・中断することは危険です。気になる症状が出たら、一人で不安を抱え込まず、早めに医師・薬剤師に相談しましょう!

処方薬の譲渡

医師が処方した薬は、きちんと診断・検査した上で、それぞれの症状、体質、年齢などを考えて処方されています。
処方薬は市販薬と違い個人にあわせたものですので、症状が同じだからといって、処方された薬を自分以外の人が飲むと、人によってはかえって毒となることさえあるので、処方薬をもらったりあげたりするのはやめましょう。
また、重大な健康被害を及ぼすリスクを避けるためだけでなく、処方薬を譲る行為は、家族であろうと医薬品医療機器法などの法律に違反して、刑事罰を受ける可能性があります。

薬のトラブル対処法

間違った飲み方によってトラブルが起きないためにも、ずっと元気に過ごすためにも、服用管理は重要です。
また、ご家族の方が、どのように注意や対策をしたらよいかをあらかじめ考えておくことで、より安全な服薬管理ができるようになります。

薬管理用ツールを活用する


薬管理用のピルケースやカレンダーは、曜日や時間ごとに分かりやすく仕切られているので、飲み忘れや飲み間違いを防ぐことができます。

また、飲んだかどうか忘れないように、薬を飲んだ後カレンダーに印をつけたり、飲んだ後の包装をピルケースに戻しておくなど、あとからでも薬を飲んだことが確認できるようにしておきましょう。

かかりつけ薬局とお薬手帳を利用する

いくつかの医療機関から処方せんをもらう場合でも、かかりつけ薬局を決めておくことで、薬の処方トラブルを防げたり、薬に関して心配なことがあっても相談もできます。薬の効果や副作用についても、確認してもらえるので安心ですね。さらに、自宅の近くの薬局にすると、薬の受け取りが楽になります。

そして、お薬手帳を使うことで、薬効が重複していないか、飲み合わせが悪くないかを薬剤師がチェックしてくれます。また、家族や周りの人も一緒に把握できるので服薬トラブルを防ぎやすくなります。

一包化してもらう

種類や数が多いと服薬管理が大変だったり、頻度も、1日2回のものや3回のものだったり、就寝前だけのものなど、飲むタイミングが複雑になると飲み忘れの原因にもなります。
飲む時間ごとに複数の異なる薬を一つの袋にまとめてもらうことで、別々の薬のシートを開いて出す必要がなくなるので、取り出すのが困難な方にも負担が減り、管理もしやすくなります。薬の一包化には医師の許可が必要となるため、医師や薬剤師に相談してみましょう。また、一包化調剤は有料で、一包化できない場合もあります。

まとめ

今回は、高齢者に多い服薬トラブルと、そのリスクを避けるための対策をご紹介いたしました。
どのように注意したら良いかをあらかじめ対策しておくことで、より安全な服薬管理ができるようになります。
ご家族だったり、デイサービスや訪問サービスにおける服薬管理のサポートもあるので、こういった手助けも借りて、毎回、安心して確実に薬を飲めるようにしましょう。
薬の管理