犬や猫などのペットとの暮らしは、高齢者の暮らしに張りを与え、認知症予防など、さまざまな健康効果をもたらすといわれています。しかし、お世話の負担や、自分が体調を崩した場合など、高齢者ならではの心配もあるかと思います。ペットが高齢者に与える健康効果と、お互いが安心して暮らすための注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ペットが高齢者に与える健康効果
ペットとの暮らしは、高齢者に健康効果をもたらすといわれています。アニマルセラピーという言葉があるように、ペットは、触れ合うことで人の心に癒しを与えてくれる存在です。その癒し効果は、直接触れなくても、そばにいるだけでも得ることができます。
癒し以外にも得られるさまざまな効果について、ひとつずつ解説していきましょう。
定期的な運動や、規則正しい生活になる
ペットと暮らしていると、毎日、えさやりや水かえをするために立ち上がったり、トイレ掃除を行ったり、お世話をしているうちに、体を動かす頻度も増えます。
また、犬と暮らすのであれば、散歩が必要になるので、日中の運動量が増えれば、夜はぐっすりと眠れます。ペットの世話をすることで、体力が維持されるという効果も得られ、自然と規則正しい生活が送れるようになります。
記憶力の向上
ペットのえさやりの時間など、量や時間を意識して記憶します。こういった記憶の反復が、脳に良い刺激を与え記憶力が向上します。能動的にペットの世話をすることは、記憶力の維持・向上に働きかけ、高齢者に自尊心を芽生えさせます。「世話をしなくては」と日々に張り合いができれば、認知症予防にもつながっていくでしょう。
五感が刺激される
なでたときに伝わる体温や毛の感触、鳴き声やにおいなどが五感を刺激します。ペットの存在は癒されると同時に、高齢者の脳の活性化に効果的な存在であるといえます。
会話やコミュニケーションが増える
犬や猫はしゃべらないけれど、名前を呼んだり話しかけたりすると、仕草や態度でしっかりと応えてくれます。話し相手になってくれたり、コミュニケーションを取る機会が増えるので、孤独感や不安感の解消につながり、精神の安定にも役立ちます。
ペットと暮らす際の注意点
ペットとの暮らしは、心身にさまざまな効用をもたらす反面、もしもの時など、高齢者ならではの心配もあります。そうした心配をできるだけ軽くするための注意点をご紹介しましょう。
■ケージに入れる練習
ケージに慣れさせておけば、ペットを動物病院に連れて行くときだけでなく、災害で避難所に行くときや、自宅に動物が苦手な人が訪れるときも、ペットをケージに入れておけば安心ですね。
飼い主だけでケージに入れる練習を行うのが難しい場合は、家族に手伝ってもらったり、専門のシッターやトレーナーなどに依頼するといいでしょう。
■世話ができなくなったときのことを想定しておく
ペットを飼う際は、自分で世話ができなくなったときのことを考えておく必要があります。今は体力に自信があっても、免疫力や体力が低下しがちな高齢者はある日突然、何らかのけがや病気をきっかけに日々の世話が大変になることもあるかもしれません。
入院が必要になった場合に備え、親戚や知人、ペットシッターやペットホテルなど、一時的な預け先を予め見つけておくと安心です。また、飼い主と同様にペットも高齢化するため、先々に備えておくとより安心です。
■高齢者もペットも感染症予防をする
高齢者とペット、感染予防は大切です。猫は屋外に出すと感染症にかかるリスクが高まってしまうため、室内飼いを徹底し、ワクチン接種を心がけましょう。
犬は外に出す場合は、感染症のリスクばかりか、ペットが事故にあうリスクもあるため、必ずリードにつなぐ、ということを徹底しましょう。犬も同様に、狂犬病予防接種や混合ワクチン接種が必要です。
また、高齢者の免疫力が低下しているときに、少しのケガから感染症を発症する恐れがあります。猫の爪で出来たひっかき傷にペットのだ液が付いたことが原因で感染症になってしまうケースもあるので、引っかかれたときは必ず消毒しましょう。
そして、猫の爪は定期的に切ってお手入れをしたり、歯周病を予防するペット用のサプリメントなどを利用したりするなどして、日頃からペットの口腔ケアも心がけましょう。
まとめ
毎日お世話をするペットの存在が生活に張りを与えると同時に、生活リズムを規則正しくしてくれます。ペットとのふれあいが、飼い主の身体機能や認知症予防の刺激として役立ちます。
自らが健康でいる努力を心掛け、ペットとの時間を楽しみ、ペットの気持ちを察してあげる努力をし、絆をしっかり築くことが重要です。ペットとの絆が、老後の生活を豊かなものにしてくれます。
お互いの将来を見据えておけば、より充実した毎日を過ごすことができるでしょう。ペットと一緒に、心も体も健康に暮らしてみてはいかがでしょうか。